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「お帰り。
食事の用意が出来てる」
「………………」
少年の言い方からは驚いた様子は
微塵も感じられない。
寧ろ、まるで此処に戻ってくるのを
予期していたかのような口ぶりだった。
そう思うのも決して俺の
気のせいではないらしく
テーブルにはキチンと二人分の
食器が並べられていた。
確かに朝出て行く時にまた来るとは言ったが、
ニュアンス的に今日では無いと伝えたつもりだった。
「俺が何故戻ると?」
イゼルは瞬きもせずに
真っ直ぐに俺を見据えて、
「君はこの森からは抜けれない。
帰る事も他に行くあてもない君が
結局この家に戻ってくるしか
手段がないと最初から分かっていたからだ」
そう言い放った。
「ハハ……何の冗談かな?」
乾いた笑いが口からもれる。
子供の冗談にしても
今の状況下ではあんまり笑えない。
森を抜けれないだって?
何を馬鹿なことを。
「冗談かどうか実際君は戻ってきた、違うか?」
「――――!」
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