レイニーデイ

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 俺は服を購入しようと思って大手百貨店に行った。徒歩で行ける距離だけど久しぶりに利用した。  店内に入って服を買おうとした。その時に天井から吊るされた垂れ幕に気づいた。垂れ幕には明日、現在人気絶頂のアニメのヒロインのフィギュアが発売されると書かれてあった。  俺はそのアニメの大ファンだったが、そのことを知らなかった。でもフィギュアはそれほど欲しくなかった。しかし垂れ幕の文字の続きを読んで驚いた。  そのフィギュアを購入した人限定でドラマCDを購入する権利が与えられると書かれてあった。俺はドラマCDがものすごく欲しかった。ドラマCDが購入できることを知ってごくりと唾を飲み込んだ。  フィギュアの値段は完全受注生産で十五万もする。俺は全財産が十五万円で、フィギュアは買えることができると思った。  しかしドラマCDは一万五千円、その金は俺にはなかった。あらゆる所で借りて踏み倒してきたので、ブラックリストに載ってしまい、もうどこでも借りることができない。  どうしても一万五千円足りない。百貨店は購入金額に合わせて一%のポイントがつくが、それでは千五百円にしかならない。フィギュアもドラマCDも返品不可、転売不可となっていたので、ドラマCDだけネットで買うこともできない。  俺が項垂れていると店頭のポスターに目が行った。 『当店は雨の日はレイニーデイでポイント十倍です。その日からご利用になれます』  俺はその手があったと膝を打った。明日、雨の日になればフィギュアを買ったポイントでドラマCDが買える。食料品は家にある買い置きでなんとかなるだろう。  俺はその日、服は買わずに帰った。明日は雨よ降れと強く祈った。
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