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私が大学生になる頃に祖母が亡くなり、長年の介護の疲れが出た母は、一気に歳を取ってしまったように見えた。
大学生になって一人暮らしを始めた。
家に負担にならないように、奨学金とアルバイトで学費と生活を賄っていたこともあって、あまり実家には帰れなかった。
米や野菜を送ってくれて、時々電話をして声を聞くだけだった。
大学を卒業した後も、アパートから通える就職先を見つけたため、引き続き一人暮らしを続けた。だが、学生の頃よりは時間の余裕ができたので、年に数回は帰省して顔を見せることができた。
ところが、勤続十年を超え、部下を指導する立場となった私は、多忙を理由に再び実家に帰らなくなった。まる一年は顔を見せずに、それどころか、ろくに連絡もせずに仕事に没頭していた。
そんなある日、母が倒れたと知らせがあった。
急いで病院に向かって、母と対面した。
たった一年で、別人のようになっていた。
髪は全部白くなって、皺だらけで、シミがいくつもできていた。
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