サヨナラは雨とともに

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命は助かったが、寝たきりの生活を余儀なくされた。父は既に他界し、他にきょうだいはいない。そうなれば、必然的に自分が世話をするしかない。 施設を利用するという手もあったが、自宅で介護する選択をした。高校を卒業してからというもの、親孝行を何一つできていなかった。今、恩を返さずにいつ返すというのだ。 勤めていた会社に事情を離すと、在宅勤務を許可してくれた。介護という状況も考慮し、勤務時間は変則で良いと言ってもらえた。 クビになることも覚悟していたので、ありがたい話だった。 実際にやってみると、かなり体力のいる仕事だと分かる。食事のために身体を起き上がらせたり、入浴の移動のために持ち上げたり、床ずれしないように向きを変えたり。 また、言語障害があると意思疎通も難しくなる。最初は何を言いたいのか分からなくて、イライラして、そんな自分が悔しくて泣いたこともあった。 母は、これを毎日やっていたのだ。 私は介護ヘルパーを利用させて貰いながらようやくこなせたというのに、たった一人で、毎日祖母を介護していたのだ。 ろくに手伝いもしなかった当時の自分が、どうしようもなく薄情に思えてしまった。
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