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介護にも慣れた頃。一日中雨が降っていた日のことだ。オムツの換えを終えて、台所に行って麦茶で喉を潤した。すると、この光景に既視感を覚えたのだ。
何だろう、と記憶を辿ると。
ふと、幼い自分が、母に対して汚物を触るのは嫌ではないのかと尋ねたことを思い出した。
そして、おしっこから出てきた水の神様の話も思い出した。
母が呼ぶ声が聞こえて、考えは中断された。
母が寝ている隙に、夕食の準備を進める。
大きな音が出る炒め物や、煙や強いにおいが出るものは避け、繊維の多くない野菜の煮物を副菜として作り、鯖の味噌煮の缶詰を主菜にする。
もちろん骨はしっかり取り除く。
好物の厚焼き玉子は、ヘルパーさんがいるときに作るから、今日はこれで勘弁してね。
「あち!」
うっかり鍋を触ってしまい、指を火傷した。
……自分でも気づかないうちに、疲れが溜まっているようだ。いけない、いけない。しっかりしないと。
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