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「"進藤さん"って、あれお前の同期入社のモヤシ男だよな?お前さぁ…普段からあんな風に身体、触らせたりシてんの?つか"進藤さん"とか呼んでんじゃねぇよ、気持ち悪い。同期のやつなら"モヤシ"って呼んでも許されんだろ。名前で呼ぶとかお前それ浮気な?」
───え、それ?っあぁ…そこっ?!
まさか、あの現場を見られてしまっていたとは!気が付かなかった…これはやらかしたな、進藤さんに申し訳ないことを、
「おいおい、心の中で呼ぶのがセーフだと思ってんなら大間違いですよ、一ノ瀬さん?」
──だから、なんでバレてるの?!
「お前の顔見れば、何考えてんのか大体わかる。だってお前俺のだし。俺の芹菜ちゃんだし?所有者俺だし、世帯主も俺…何なら雇い主だって俺みたいなもんだし?"一ノ瀬 芹菜"は俺に絶対服従しろって婚姻届にも書いてあったし、お前ソレにサインしてたよね?喜んでスキップして役所に届けに行ってたよな?」
婚姻届に"絶対服従"なんて四文字熟語、載ってなかった気がするのですが。私が舞い上がっていたせいで見落としたのか?─…いや、そんな訳ないよな?!そんなクセのある婚姻届聞いたことがない
………いや。時代は令和だ。そんなぶっ飛んだ内容の婚姻届もあるのか?選択式?私が世間知らずなだけなのか?……ん、有り得る話だな。
「──っていうのを踏まえた上で、お前俺に何か言うこと…あるよね?」
『…………勝手に触られて、ごめんなさい』
「はい、正解。素直に初めから謝ればいいのにこの部屋に入ってからもう既に7分も経過してる。7分も無駄にした…せっかく芹と二人きりになれたのに7分もくだらねぇことの為に時間使った。7分あれば一回ヤれたなぁ?」
いや、無理だよな?ここ職場ですよ?!専務!っていうか7分で終わるわけないよな?!
「あーあ─…このままだと"公私混同"してモヤシ男のクビを切ることになる。」
『……っえ?!そ、それは理不尽すぎるっ、』
「は?テメェ誰にモノ言ってんだよ。タダの一ノ瀬のくせに俺に刃向かっていいと思ってんの?俺が要らねぇって思う人間を、なぜ置いておく必要がある?前から気に入らなかったんだよあのモヤシ男。芹のことヤラシー目で見てるとは思ってたけど、まさか触れてたとはね。ここが戦国時代なら、今夜あの男は俺が送り込んだ刺客に殺されてるだろーよ」
令和の時代で良かったね、進藤さん。いや令和のこの時代でも海吏なら裏社会の人間とか使って闇に葬ったりしそうですけど。
「──学習しねぇ女だな、そんなに"進藤さん"のこと、葬ってほしいの?」
もう、心の声全部声に出そうか?
「まぁそーいうことだから、モヤシ男のことを思うなら…今すぐ俺と一緒に帰宅しろ。これ、業務命令な?断ったらクビ、反抗してもクビ、意見してもクビ。さぁ、どーする?」
『……一緒に帰宅させていただきますっ!』
「ん、いい子だね一ノ瀬さん?お前の上司には俺から話しておくから、荷物まとめて駐車場まで降りてこい─…5分やる」
5分っ?!いやいやいやいや、間に合わせますけどね?!だって早く海ちゃんに会いたいしね?
とりあえずモヤシ男進藤さんには感謝しなければ!進藤さんのおかげで私、専務にお持ち帰りして貰えることになりましたので。
───あ、進藤さんって言っちゃった。
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