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彼女─…"仁科さん"は、、
海吏の従兄弟である外輪常務の秘書だ。
綺麗な人だから覚えてしまった。海吏に近づいて欲しくなくて、覚えてしまった。
私は仕事が出来る人間ではない。前に一日だけ海吏の秘書をした時だって…帰り道でクビにされるという愚民ぶりを発揮したほどだ。
だから、彼女に適うとは思っていない。以前リモート会議の時に現れたキャリアウーマン三山のときもそうだったけど…
──…嫉妬、してしまう。
普通に、ヤキモチを妬いてしまう。
顔もスタイルもいい、綺麗な女の人を車の助手席に乗せているのを見ると─…苦しくなる
多分海吏はなんとも思っていない。だって"死にたがり"の席に仁科秘書を乗せていたのだから。仕事先で一緒だったとか…途中で会ってしまって乗せてあげたとか…その程度だと思う。乗っていたのが後部座席となるとまた話は変わってくるのですが─…
海吏の中での一番低いランクの人間が乗る席…それが助手席…って知っているから。何も不安に思うことはない。ただ…羨ましかった。
私は一度だって海吏の運転する姿を、隣の席で見たことが無かったから。
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