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『……帰ろう』
海吏の車に背を向けて、一人歩いて帰ろうと…駐車場から出ようとした。
「せーりな、待たせてごめんな?いま…小山内が休みでさぁ…いつもと違う秘書を連れて仕事してたらっ、時間ズレ込んで…間に合わなかった…」
『小山内さん…お休み、珍しいね』
「ん?あぁ…臨時休暇、アイツには色々迷惑掛けたからね。この間の一件で。」
──…確かに、ご迷惑をお掛けしました。
だけどっ…早く帰ってきて欲しいです小山内秘書…私の海吏に美人秘書が着いてしまいますっ
「─…芹、帰んぞ」
どうしてだろう…朝は凄く嬉しくて、舞い上がっていたのに。今は海吏の車に乗りたくない…なんて。子どもみたいなことを思ってしまう。
「──何してんの?お前の席は俺の後ろだろ」
助手席に座ってシートベルトをした私に、冷たくそう言い放った海吏にベルトを外されて車外に出される。
「ほら、お前の特等席はこっちな?広いだろ?寝れんだろ?けど寝んのは俺と一緒のときだけだから、いい子でベルトして乗ってろ?」
押し込まれた後部座席─…"特等席"なんて言われても、イマイチ気持ちが晴れないのは…
さっき一瞬座った助手席から、甘ったるい香水の匂いがしたから、、
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