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芹菜が寝室で自己嫌悪に浸っている間
着替えを済ませた海吏は─…
『あぁ…俺だけど。今から行っていい?』
大学の時の友人に自動車教習所で教官をしている奴がいたので、そいつに頼み込んで一時間ほど敷地内を貸してもらえることになった。
世の中、金さえあれば大抵の事は可能になる。
『─…芹、出掛けるぞ。着いてこい』
寝室で放心している芹の腕を掴んで、俺の上着を二枚着せて外に連れ出す。一応風呂入ったあとだからね。湯冷めされたら困るしね。
何も言わず俯いて歩くノロマなバカ嫁。何を考えているか…なんて顔を見ればわかる。
大方…俺に"ウザい"とか"離婚"なんて言葉を使ったことを猛烈に後悔してるのだろう。分かっているが、何も声をかけてやらない。
だって傷ついたし?俺、マジで死ぬつもりだったし?まぁ…思いとどまって良かったわ。くそつまんねぇ理由で死ぬところだったから。
『芹、後ろ乗ってベルトして─…』
大人しく俺に従うセリ公を見て、抱き締めてやりたい気持ちを必死で押し殺す
まだ…甘やかしてやらねーよ。反省しろ…俺を傷つけたことを、猛烈に反省して…そのあと、また俺にバカみたいな笑顔を見せてくれるなら…それでチャラにしてやるよ。
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