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その瞬間、周囲がざわつき始める
「「「一ノ瀬 芹菜が一発で振り向いた」」」
私が一度の声掛けで振り向いたのが余程珍しかったのか、各々口を開けば同じようなことを呟いている
「一ノ瀬さん、少しいいですか?」
専務サマ、直々に呼び出しだなんて…アイツ遂にクビを切られるのでは?なんて空気感が流れ始める
いいのかな?ここ職場だけど、私…海吏の近くに行ってもいいの?「一ノ瀬さん、早く」っと、再び海吏に名前を呼ばれてしまえば、そんな迷いは抹殺される
大人しく彼の横に並べば、満足気に笑う専務サマ。私の上司に「ちょっと一ノ瀬さん、借りますね」っと、なんとも雑な許可をとってから…
突き刺すような周囲からの視線を全身で感じながら、海吏の隣を並んで歩く
─…社内恋愛、してるみたいでドキドキする
なんて悠長なことを考えられたのは束の間、海吏が使用しているお部屋に連れ込まれた瞬間、ガチャっと施錠された音が部屋中に響く
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