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俺は…
…―――野球がしたい。
答えはもうすでに出ているんだ。
「俺は…野球が好きだ。」
気づけば口からそう、零れ落ちていた。
滝沢は太陽のような満面の笑顔で「うん、そうだと思った!」と言った。
いつの間にか雨はやんでいた。
そして、店の大きな窓から日が差し込んで、店内が明るくなった。
日差しが窓の雨粒に反射して、キラキラと煌めいている。
「あー晴れたー!この店で晴れたの初めてだ。やっぱり晴れがいいねー…」
滝沢は何だか嬉しそうにニコニコ笑顔だ。
俺の気持ちもにも晴れ間がのぞいた。
「ねぇ、滝沢、俺の髪刈ってよ」
「え?」
「美容師になるんでしょ?」
「えー…だって、まだなんの技術も…」
「大丈夫だって、バリカンでガーってやるだけだから…よし、今やろ!」
「えっえっ…」
諦めるのは、今じゃない!
野球部に、監督に、戻りたいって謝りに行こう。
許してくれるかな…
いや、許してもらおう。
「…俺さ…滝沢が…――好きだ。」
気づけば口からそう、零れ落ちていた。
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