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ジャンケン
僕はジャンケンが弱い。ジャンケンが弱いという事が一体どういった事なのかはよく分からないが弱い。とにかく弱い。
運も悪い。しかし運が悪い事についてはジャンケンと違って何となく心当たりがある。
家族、友人、先輩後輩、先生など、人の縁について僕は異常な程に運が良いのだ。今までそれのみで生きてきたと断言できる。だから多分そこで運を使い切ってしまったのだと思う。人の運は絶対的なもので、個々人の量は生まれながらにして定められているものだと信じてやまない。僕は使い過ぎてしまったのだ。
宝くじはもとより、順番決めや席ぎめなどに至るまで欲しいものを引いた事がない。欲しくないものは大体引く。
損するのが分かっているのでギャンブルは当然しないが、ボードゲームのサイコロすら出目が悪い。とても悪い。周囲が引くほど悪い。
さて、冒頭に『ジャンケンが弱いという事がよく分からない』と書いた事について、運が悪ければそりゃあ、と思う方もいるだろう。初手でグーを出す確率が僅かに高いと聞くが、それでも35%らしいので運は大いに関係すると思う。だが、分からないのは正にそこなのだ。
僕の兄は、多分世界一ジャンケンが弱い。
運はそこそこ良いように感じる。いわゆる『引き』みたいなものも持っていると思う。
でも弱い。ジャンケンが弱い。周知される程に弱い。しかし幼少時、家族でジャンケンをする様な時はかなり白熱していた。なぜなら家族全員ジャンケンが弱かったからである。みんなして運を何かに使っちゃってたんだろうか?寧ろ不思議な幸運に守られていた様な家庭だったと思うのだが。
そんな訳で、ジャンケンが弱いというのは、一体どういうことなのか分からずにいる。きっと生涯首を傾げているだろう。
因みに運が悪い事については「実力で生きてんだよバカヤロー」と考える事にしている。人の縁で生きてきたと言う奴が随分と都合の良い頭をしていると、自分でもそう思う。
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