短いの2

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短いの2

信頼関係  僕がひとよりも長い時間をかけて学んだのは、おそらくは患者さんから信頼を得る方法であり、こちらから患者さんを信頼する事は何もない。この人は何やっても怒らなさそうだなと感じる事はあるもののそれを実行する度胸もなく、してみればやはりお客様でよいのではないかとも思うが、それはいったら怒られるだろうからここに書く。 虚言  家族、生活、保証するものは全て僕の主観によるものである。これが全て僕の虚言だったら、ものすごく怖いと思うがうまく伝わらない。 幸福について  自分のポンコツ具合を感慨みるに、妻と子二人、歯科医師という職、どちらも分不相応が過ぎるように感じる。野心だの野望だのがないといわれるが、望む以上のものを僕はもっている。僕は33年間ずっと幸せだった。  いろいろな事があったが、常に何も思い残すことはない。あ、いや、子供の学費くらい。  死にたいわけではないが、僕の人間としての性能機能を感慨みるに、これ以上の幸せなど望むべくもない。 想像力の欠如  子供が産まれてから、子供が死んだニュースがとてもこわいものになった。僕の精神の未熟からか、子供をかわいいと思うようになって漸く、自分のものとして感じるようになったのだと思う。年齢を重ねるというのはきっとこういう事で、老いていくなかで、願わくば、喜怒哀楽の隔てなく、もっと色々な思いを理解するようになればと願っている。
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