タクシードライバー大竹正士の心残り

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一家の大黒柱としてタクシードライバーでの稼ぎで家族を養ってきた。 今では、子供たちは立派に成人し独立して親元を離れている。 可愛い孫も生まれ、時折顔を見せに来てくれる時は、日頃の疲れも吹っ飛ぶほどの嬉しい気持ちになる。 しかし、そんな大竹でも少しの不満を抱えている。 長年連れ添った妻と家にいる時は空気の様な存在感で、良く言えば以心伝心、阿吽(あうん)の呼吸、ツーカーの仲。 悪く言えば、マンネリ、新鮮味のない、代り映えのしない日常、という感じだった。 毎日毎日タクシーを運転して、家に帰れば風呂に入り夕飯を食べ、晩酌が唯一の楽しみという同じような日々の繰り返し。
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