タクシードライバー大竹正士の心残り

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そういう毎日を送っていると、若い頃特有のギラギラした野望に胸を躍らせることもない。 非日常のスリルに興奮を覚えることもなく過ぎていく、いつもの風景。 刺激が欲しい。 そう思いながら何年経っただろう。 どれだけのお客様を何事もなく安全に目的地にお届けしただろう。 仕事としては優秀だ。事故も違反もクレームもなく、売り上げもまずまず。 しかし、このままの日常が続くのなら退屈に圧し潰されそうだ。 だったらもう、いっそのこと、いつ引退しても構わない、と思いながらハンドルを握っている。 そんな大竹にもタクシードライバーとして心残りがあった。
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