トンネル

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トンネル

僕の住んでいる県には有名なトンネルがある それはいわば心霊スポットというやつで、 そのトンネルを知る誰もがそのトンネルを… トンネル と、言っていた 俺は23歳男のフリーターだ 今日もバイトから帰ろうとしたところで… 「おい」 と、先輩に呼び止められた 「お前、ここに有名なトンネルがあるのを知ってるか?」 恐らくあれかな? 「知ってますよ」 俺はそう答えた 「今日そこに行ってみようと思うんだがお前今日予定あるか?」 「特にないですよ」 「よし、付き合え」 そして俺は先輩と車でそのトンネルに向かうことにした… 「ここら辺か?」 そこは山道をしばらく登っていったところにあった 「恐らくそうですかね…」 そこは心霊スポット言われるだけはある重々しい空気を放っていた… 「聞いた話によればここでクラクションを3回鳴らすと女の霊が現れるらしい」 「やるんですか?」 「たりめぇだろ、何のために来たと思ってんだよ」 プァァン プァァン プァァン そして先輩はクラクションを3回鳴らした 車のライトは消していたので周りは真っ暗闇で何も見えなかったが、僕らは静かに変化を待った………すると…… コツコツ…コツコツ…コツコツ…コツコツ 『?!』 俺はトンネルの中を見て顔がひきつった なぜなら、明らかに普通ではない女性がこちらに向かって「コツコツ…コツコツ」と音を立てて歩いてきたからだ そして、車1台分ぐらいの距離まで女性が近づいてきたところで… キャッキャッキャ ブロロォン 急に先輩が車のエンジンをかけ走り出した そしてトンネルを勢いよく通り過ぎたところで 先輩が口を開いた 「なぁ、お前聴こえた?」 「…聴こえました」 「見えた?」 「………見えました」 「俺もだ…」 「あれなんなんですか」 「俺に聞くな」 それ以上の会話は交わさなかった そしてしばらく走っていると… 「戻るか…」 先輩がそう呟いた 「正気ですか?!」 「いやでも戻らねぇと帰れねぇだろ」 「それもそうですけど…」 あまり乗り気はしなかったがこのまま走っていても帰ることは出来ないので大人しく従っておくことにした そして、またトンネルが見えるところまで戻ってきた… 「戻ってきたか…」 「よし、行くぞ」 そうして先輩は車で走り出した そしてトンネルの入口の手前まで走って急に車を停めた 「どうしたんですか?」 「おい、あれ…人か?」 先輩が言う方を見ると、そこには大きなゴミ箱があった…その横に 小さい女の子がうずくまっていた… 「っ…」 そして小さい女の子に目線を向けた時、 不意に女の子が顔を上げ…… 目が合ってしまった 「先輩!」 「わかってる!」 先輩に呼びかけ僕たちは全速力でトンネルを通り過ぎた…のだが 「追いかけてきてるぞ…」 その女の子は車に付いてきていた 車はその時ざっと60kmぐらいでていたのに、 付いてこれているのだ…異常だ…… ヤバいものと目が合ったのだと改めて実感した と、その時、僕らの車の横を1台の車が通り過ぎた… 「消えてる…」 その車が通り過ぎると女の子は消えていた… 「フゥーーーー」 助かった… ……… 「ここら辺でいいか?」 「はい、ありがとうございました」 そして俺は先輩の車で家の近くまで送ってもらった そして車から降り、車を見送る時 俺は、 ホッとした 無事に帰ってこれた安心からホッとしたのもあるが、それだけじゃない、先輩の車を見送る時俺は見たのだ… 車のバックドアガラス一面に写っていた… 無数の血まみれの顔と手形を…
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