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考える
そしてそれからも私の脚本は褒められることしかなかった。
「ただいまー」
家に帰ってきた私。もうランドセルじゃなくてとっくにリュック。
床に置くと、しなっとなったリュックが倒れた。
「おかえり夕菜」
お姉ちゃんが私を出迎えてくれて、どこかほっとする。
でも、そんなことに甘んじてはダメ。
私は自分の部屋のベッドに座った。
そういえば、ゆめのぬいぐるみを最初に見つけたのは私じゃなくてお姉ちゃん。
小学生のところにワープするって言っても、ピンポイントで小学生のところにやってくるわけじゃないんだ。
でも……だからと言って、何か進展があるわけじゃない。
ううーっ。色々ともやもやする!
現実逃避のためにスマホをいじる私。
ふと、SNSアプリを見ていた目と手が固まる。
バズってる絵。
これ、桜の絵を描くのが好きな山本君の絵だ。
新作みたい。
不自然なまでに多く振ってる桜の花びらと、渚ヶ丘芸術学園の校舎。そしてその周りの桜の花びらが降ってない街並み。
リアルだけど、ファンタジーみのある絵だ。しかもめちゃくちゃ上手いんだからもちろんバズる。
その絵を見てるうちに気づいた。
渚ヶ丘芸術学園にだけ桜が降ってるのは、こんなにも街中から不自然に見えてるんだって。
だとすれば……想像力を働かせる私。
この景色を外から見るために、全然渚が丘芸術学園関係ない人が夢のぬいぐるみを使った可能性もある……?
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