私、転校生です!

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私、転校生です!

 とりあえず渚ヶ丘芸術学園に行ってみた私は恥ずかしい思いをしていた。  ていうのも……    なんでみんなランドセル背負ってないのぉー!  なんか、みんなそれぞれ個性の出たバックやリュックを背負っている。  一人だけランドセルなのがこんなに恥ずかしいなんて、想像すらできなかった。  あー、クラスもどこかわかんないし色々と最悪かも! 「なんか困ってるの?」  めちゃくちゃ聞いたことのある声がした。ていうか、聞いたことあるってより…… 「ゆ、悠希くん? 橋川悠希くん!」 「僕のこと知ってくれてるんだ。すごく嬉しいよ。もしかしてなんだけど、転校生なのかな?」 「は、はいぃー」  空気が抜けていく浮き輪みたいな息の吐き方をしてしまった。  いやいやいや、ちょっと待って、あの、目合わせられないよ。 「何年何組とかは聞いてる?」 「あ、いえ、でもわ、私五年生です!」 「お、てことは学年は一緒だ。とりあえず、僕の教室に案内するよ。もしかしたらクラス一緒かもだな」 「は、はい! ありがとうございます!」  私は悠希くんについて行った。  普通に上履きを履いてる悠希くん、身近すぎるよー!  私は感動しつつ悠希くんについて行った。  背もやっぱり高い。もちろんイケメン。雰囲気がキレイ。    そして、校舎もめちゃくちゃキレイ!  透明感のある廊下と、吹き抜けのど真ん中に大きな階段。  ここが……渚ヶ丘芸術学園!  すごい、すごいよなんか!  行きゆく人がみんな天才に見える。 「ここが五年一組だね」 「は、はいっ」 「お、もしかして君が転校生かな?」 「は、はい私転校生です!」  振り向けば若い男性の先生がいた。 「お名前は?」 「西山夕菜です】 「おっ。そうかそうか。脚本部門で試験を突破したんだね。君は今日からわが校の五年一組だよ」 「よかったな。一緒のクラスだ」 「うん!」  ってなんか仲良い友達とするみたいな会話悠希くんとしちゃってるんだけど……! 「うちのクラスはみんないい人だよ!」  そう言う悠希くんが扉を開けると、みんなの視線が……私に向いた。  そっか。みんなからしたら、悠希くんより私の方が珍しいんだ。  あわわ。転校生の自覚、今更芽生えました。 「西山夕菜です。よ、よろしくお願いします!」  ぱちぱちぱち!  は、拍手されちゃった……まだ教室に入ってもないのに。 「では、改めて転校生に自己紹介をしてもらいましょう!」  その後、普通の小学校のように朝の会が始まって、そこで私はもう一度自己紹介をした。  そして…… 「席は橋川のとなりかな」 「と、となりい?」 「どうかしたかな?」 「い、いえ、はいっ。今すぐ席に向かいますね」  やっぱりだ。絶対、ゆめのぬいぐるみ効果が、強烈に働いている。  
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