演劇クラブがあるみたい

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演劇クラブがあるみたい

 そして、渚が丘芸術学園での一日が始まった……!  授業は思ったよりも普通だった。  けど……  隣に憧れの人がいるっていうだけで、全然違う。 「さて、では隣の人と会話練習してみよう」  今は英語の時間。そして早速会話練習することになっちゃった。  あのー、まずは日本語で会話練習したいです……! 「じゃ、やるか。よろしくね、夕菜」 「夕菜……!」 「あれ、もしかして名前間違えた?」 「ううん! 合ってるよ」  い、いきなり下の名前だ……。そういう私も悠希くんって心の中で言っちゃってるけど、でも私は悠希くんのポスターとは毎日ご対面してるし……。  そこから、英語の教科書に載ってる文に沿って会話練習をしたんだけど、悠希くんって英語の発音がすっごくいいの!  よくよく考えたら、悠希くんが出てるドラマとかでも、英語のセリフあるもんね。  だから……似合っちゃうんだなあ。英語を喋ってる雰囲気も。  そしてそれからも悠希くんとは関わりまくり。  隣の席といっても流石に多くない? ってくらい。  もう心臓が早いまんまなので暑くなってきた。  あと、それに加えて…… 「どこの小学校に通ってたの?」 「脚本書くのが得意なんだって? じゃあやっぱり演劇クラブだね!」 「好きな食べ物なに?」  転校生ならではの囲まれ状態発生!  そしてそういう時は悠希くんはそばでのんびりしてる。    でも放課後になったら…… 「夕菜」  悠希くんがサラッと話しかけてきた。荷物をきっちりにまとめている。 「は、はいっ」 「あの、お願いがありまして」 「お願い」  悠希くんは私のことを見つめた。  そして…… 「よかったら演劇クラブ、見に来てくれない?」 「演劇クラブ? ゆ、悠希くんは入ってるの?」 「もちろん僕は入ってるよ。ほら、夕菜って脚本が書けるって聞いたから。今ちょっと人手不足な演劇クラブをどうか」 「そういうことなら……ぜひ演劇クラブ、連れてってください」 「ありがとう!」  嬉しそうな悠希くん。  そしてゆめのぬいぐるみが恐ろしくなるほどの完璧な流れ。  この流れに乗っていけば夢が叶う……でも、それってちょっとあっさりしすぎなような……。  私はちょっと、そう思った。 「ここが演劇クラブの活動場所、小ホール1だよ」 「1ってことは他にも小ホールがあるってこと?」 「そう。うちの学校は芸術系の道に進みたい人が多くて、だから色んなスペースがあるんだ。演劇に挑戦したいって人もたくさんいる」  ホールがいくつも小学校の中にあるって、豪華すぎる! 「夕菜を連れてきたよ!」 「おおーっ。転校生か。脚本がプロ級って聞いたよ」 「そ、それは気のせいですっ」  謙遜じゃなくてバリバリほんとの話。  夢は叶いそうでも……これ、私が頑張ってついていかなきゃいけないやつだ!
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