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花びらが降る
リハーサルが終わった。
私は拍手していた。
「すごいっ!」
「どう? 演劇クラブ入りたくなった?」
悠希くんはちょっと自信ありげ。
でもそれも全く不思議じゃないくらい、大傑作を私は見てしまった。
「……私、演劇クラブ入る!」
そして即決。
だって……うずうずする。
私、こういう劇を作りたいって。
運よく見つけたサファイアのおかげで使える魔術を使って人助けをするも、最後は自分自身の努力で身につけた魔法で活躍して、サファイアを手放す。
その間のリオの気持ちの変化がすごく伝わってきた。
「これで、夕菜も僕たちの一員だね」
「早速新作の脚本書いてよ! 今脚本はみんなで考えてる感じで、それ専門の人はいないんだ」
「が、がんばる」
そうだ、入るからには私がお話を作らなきゃ。
そろそろ下校時刻ってことで、私たちは小ホールから下駄箱に向かう。
その時、窓の外がおかしいことに気がついた。
桜の花びらが舞っている。
この季節だと普通だよって?
ううん、違う気がする。
さっきまでとは全然違う量の、遠くが見えないほどの桜の花びら。
「すごい勢いで散ってるな」
「ほんとだ。でもうちの学校こんなに桜生えてたっけ?」
不思議がる演劇クラブのみんな。
そして悠希くんも真剣に外を見て……
「うちの学校の桜が全部散ってもこんなに舞わないと思うけど……何があったんだろう?」
私は今日初めてここに来たから詳しいことはわかんないけど……でも明らかにおかしいってことだよね。
そして単純な私は思った。例えば、誰かがゆめのぬいぐるみを使ったとしたら。
桜の花びらを思いっきり浴びたいって夢を語ったとしたら。
今の光景でも不思議ではない。
でも、そんな夢を誰が持つの? って言われると、やっぱりよくわかんないんだよね。
「なんか……キレイだな」
隣で、悠希くんの声がした。
ほんとにキレイ。
けれどあまりに全体的にピンクなのが不気味にも思えてきて、私は悠希くんに一歩寄ってしまった。
肩が触れる。
悠希くんが、笑った。私を見てるからドキドキ。
「まあ、とにかく帰ろうか。今日は来てくれて、そして演劇クラブに入るって決めてくれてありがとう」
「今度歓迎会しないとだねっ」
「だな。ピザパーティーしようぜ」
「みんなありがとうっ」
そうして、また下駄箱へと歩き出す。
今日は変化だらけだった。
だっていきなり渚ヶ丘芸術学園に転校して。
それから初日で悠希くんや、クラスメイトや演劇クラブのみんなと話して……
最後に、桜の花びらがたくさん降った。
雨なんかと違って濡れるわけでもない。
校舎の外に出ても特に問題なし。
そしてだんだんと花びらに囲まれているのに慣れていく。
だから私以外誰も気づかなかったかも。
学校の敷地の外に出ると、急に花びらが止んだ。
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