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しかし薬塗布から小一時間後、私は腹を抱えて悶絶しながら再び兄ちゃんたちを呼び、薬を除去してもらう羽目となった。シロアリ駆除の薬は強毒だ。屋内で気化した薬を吸った私は、あやうく流産しかけたのである。
異臭騒ぎはそれで済まなかった。ある日、家中がガス臭くなった。おそるおそる台所のガス元をのぞくと、しゅうしゅう音がしているではないか。肝を冷やした。原因はLPガス栓をつなぎそこねたおじさんのミスだった。ミスとは言え爆発一歩手前の惨事である。
また実際に爆発もあった。娘に絵本を読み聞かせていた時だ。突然、特撮まがいの大轟音が響いたので頭が真っ白になった。鼓膜が痛い。窓硝子は割れんばかりにビリビリ鳴り、家外で巨大な炎が上がっている。
泡を食って外へ飛び出すとすでに黒山の人だかりだ。ガードマンに尋ねると強風にあおられて電柱から電線が切れたという。
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