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幸太は気付いたらこの部屋にいた。暗く、物はろくに無い。照明すら見当たらないが、不思議にも壁はプラネタリウムかのように無数の小さな光が輝き、室内を儚く照らしていた。
その部屋の前方にある一脚の椅子に幸太は腰かけていた。
いったいいつから、なぜこんなところにいるのかーー
記憶をたどってみるがわからない。どうしても途中で途切れてしまう。
「お目覚めですか?」
不意に間近に声を聞いた幸太は驚き、椅子がガタゴトと大きな音を立てた。声の方向を見上げると、そこにいたのは中年のオヤジだった。
「なんだお前!?」
幸太が問いかけると、中年オヤジはかわいくもない笑みを浮かべながら言った。
「天使です」
「天使?」
「厳密にいえば、『天国アジア支部日本課中日本担当』の天使です」
アナタナニイッテルデスカー?。頭痛が起きそうな状況から逃れるべく、幸太は一度頭を整理する。
「まず、ここどこ? 僕は監禁でもされてるの?」
幸太の言葉に、天使は目を大きくしたかと思うと、すぐにわざとらしさを感じさせる動作で、左の手のひらに握った右手を振り落ろす。
「そうだ。大事なことを告げてませんでしたね」
天使は一度言葉を切り、もったいをつける。
そして、言った。
「あなたは死にました…… ですが! 復活の挑戦権を得ました!」
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