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雨よ降って。
降って降って、もっと降って。
ゴクゴクと乾いた喉を潤すように、渇ききっていた地面がぐんぐん雨を吸い込んでいく。
でも、それも束の間。
いくら渇いていたとはいえ器に入る量など最初から決まっていて、一気に注がれた反動もあって、瞬く間に溢れ出す。
気づけばそこかしこに水溜りができて、激しく打ち付ける雨を弾き返しながら下へ下へと流れていく。
そんな、目も開けていられないくらいの雨に向かって顔を上げる。
雨よ降って。
降って降って、もっと降って。
だって。
これは雨だって、涙なんか流してないって、他の誰でもない、私自身に言い聞かせたいから。
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