てるてる坊主

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てるてる坊主

 物の怪は物の化け物で物の怪だ。  彼はてるてる坊主の物の怪だった。彼が出来ることは雨を降らせないことだ。  彼を作ったのは陰陽師の娘だった。女だから力があっても認められない。彼女は暇な時に彼のような呪物を作り売っていた。  晴れなくてはいけない日に彼は呪物として使われた。長い年月を経て彼は物の怪になった。範囲は狭いが雨雲を寄せつけない力は強い。  そんな彼が恋をしているのは美しい赤い傘の物の怪だった。  傘の内側には蓮の絵が描かれている。雨の日に彼女が開くと蓮の絵も綺麗に咲くのだろうと考えたりする。それは彼には見ることの出来ない姿だ。  彼が仕舞われている蔵が放火にあった。いや厄介払いか?物の怪達が叫び呪いながら燃えていく。  火が彼女に迫る。  彼は自分を裏返した。自分の命をかけて裏返れば雨を作ることができるのだ。  蔵に雨が降る。  彼は蓮の絵を見た。美しい蓮だと彼は思った。 「ありがとう」彼女の声を聞いて、彼は朽ちていったのだった。    
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