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戦場に束の間の静寂がおとずれ、兵士たちの耳に耳鳴りが響いた。
だが、まだ戦闘は終わっていない。
戦車の砲身がゆっくりと動き、兵士が潜む建物を狙った。
犬を連れた兵士は建物を出ると、戦車の死角に回り込んだ。
そして、腰のベルトから旧ソ連製の手榴弾、RKG-3を手に取った。
犬は兵士を見ていた。
兵士が、棒状の何かを投げようとしていた。
犬は前足を伸ばし、プレイボウのポーズを取って尻尾を振った。
そして兵士が手榴弾のピンを引き抜き、渾身の力を込めて戦車に向かって投げると、犬は飛び出した。
「それを追っちゃダメだ!」
兵士は叫び、とっさに犬を追って戦車の前に飛び出した。
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