誰よりも早く、出勤したい。

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「上野さん、それは以前にも言いましたよね!」 「あっ、そうでした~! ごめんなさい🙇‍♀️」 こんな調子で、ケロリとしている。上長にもかならず🤣や🙆‍♀️や😻なんかの絵文字を付けてくるので、おちゃめを通り越して、大変な強心臓なのだろう。 それでも制作したチラシの出来がよければいいのだが、そうでないからややこしい。 上野さんのチラシは常に修正箇所がいっぱい。デザインも謎のマイルールで作っているのでぐちゃぐちゃ。このような場合、本人にメッセして修正を依頼するのだが、上野さんにメッセしても返ってくることはまずない。目の前の制作にしか頭がいってないので、気づかないのだ。 仕方なくチェック者が時間をかけて修正するのだが、なぜこれで研修をクリアできたのか実に謎である。 そんなKYな彼女が、一番出勤するようになったのだ。オオカミ王ロボのビアンカじゃあるまいし、お前は小池さんよりも前を歩いてはならないのにだ。 上野さんとしては仕事に張り切っており、早く作業にとりかかりたいのだろうし(どんなに難しい案件でもやります! と力強く言ってくれるのはいいが、ミスだらけで、結局大幅に修正することになるのだが)、入社したばかりの若い女の子だしで、まあ、仕方がない。誰が一番に出勤しようが、別に決まりはないのだし。 しかしこれが、受付女子たちの総スカンを食った。 なんなんあの子! 私たちの小池さんを差し置いて、生意気な! 彼女たちには、上野さんが 「駐車場の社長の定位置にマイカーを停める頭のおかしな平社員」 に見えるのだった。
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