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一 「今のあなたに、彼女を受け入れる覚悟と勇気がありますか」10
私はめぐみさんの分析に、なるほどと納得してしまった
そのあとは追加でいくつかの料理とワインを注文して、どうでも良いような雑談を繰り返した。少しは遠慮しろよと叫んでやりたかったくらいだ。
最後に、「私が特集されるときは悪口を言わないでよ」と三人がけん制し合うような同盟を結んだ。
そんな機会などあるわけないでしょ。と心の中で言ってやった。
でもちょっとだけ感心したのは、彼女について話している内容を「悪口」になるのだと、自覚と認識だけはあるんだと思ったことだ。
最後に、今は企画中だから第三者には決してもらさないようにと口止めをしてわかれた。
帰り道、私は全身に極度の疲労感を覚えた。
私は電車の中で転送してもらった写メを確認した。
彼女と杉田さんが立ち話をしているときの写メだ。その写メを観ていると、「イチャイチャして」と言ったことに違和感を感じた。
噂と写メに映る二人の雰囲気が合わないのだ。じっと目をこらして観ていると、杉田さんの足に注目した。右足の膝がほんの少し曲がっている。同僚の説明を聞いて、ぱっと瞬間的に写メを観れば、杉田さんが彼女に近づこうとしているようにも思える。しかし、彼の重心は明らかに前向きではなく、後方に向いている。彼女に対して少なからず圧迫感を与えないように距離を保っている。そんな感じに思えた。それに不倫を否定する分析話には納得できた。
実際の話、彼女はどういうタイプの女性なのか。地味な印象とは違い、裏では男好きするタイプの女性なのか。まだ彼女のことがつかめない。
直接、彼女と話をしてから判断することが一番確かで大事なことだと思い直して家に帰った。
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