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四 「一緒にいられることが楽しい」2
私は前日に資料を何度も読み込んで情報を頭にたたき込んだ。
一つの事実は、二人は今でもメールのやり取りをしているということだ。お互いの中にどんな気持ちや思いが存在しているかはわからないが、二人の間は切れていないという事実だけは確かに存在する。そこから進めればいいのだ。往き道であれこれ考えながら歩いていると彼女の部屋の前に立っていた。
私が部屋の中へ声をかけると彼女がドアを開けて招き入れててくれた。彼女の表情はいくぶん柔らかくなった気がした。少なくとも前回よりは良くなっていると思える。言葉も彼女からかけてくれた。
「杉田さんや祖母の方ともお目にかかったようですね」
「先日、祖母の美智子さんと杉田さんにお話をうかがいに行かせていただきました」
「隠してもしかたがないので、お二人からあなたが訪ねてきたと聞いております」
「杉田さんから連絡がありましたか」
「ええまあ」と彼女の返事はあいまいな言い方をした。
あれっ、照れ隠しかな。と、ふと感じた。
彼女は紅茶を淹れて私に差し出した。私は一口飲んで喉を潤した。
彼女から今日の用件を訊かれた。
杉田さんから聞いた話で、いくつかあなたの思いを聞かせいただきたいと言い、特に杉田さんに対しての思いを知りたい。と正直に伝えた。
杉田さんは、あなたのことを「大切な人」であると告白されました。本当のところを、あなたが杉田さんをどう思っているのかを知りたい。とストレートに訊ねた。
彼女は理解してうなずいた。
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