四 「一緒にいられることが楽しい」23

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四 「一緒にいられることが楽しい」23

 恋愛感情について話す前に、先にたとえ話を聞いていただく方が、私の思いが理解しやすくなるかもしれません。二つがそろってこその価値という話です。  資本主義経済と恋愛は同じようなものだと捉えています。悪い言い方をすれば、欲望から成り立つものだから。どちらも双方の同意がなけれは価値は存在しません。経済では需要と供給の合意関係であり、恋愛においては互いの精神的な同意関係が必要です。双方が必要とする、望み、思い、気持ち、などがひとつにならなければ成立しないと考えます。経済の発展には科学の進歩が必要不可欠です。でも、経済は技術だけでは成長しない。善意の精神が宿ってこそ成長があるものだと考えます。もう一つ例を出せば、教養も同じです。知識だけを高めても、教養を育んでいるとは言えない。道徳心を(つちか)ってこそ、真の教養を得ることができます。技術には健全な精神が必要です。知識には道徳が必要です。二つが備わってこその成長といえるのではないかと思っています。  恋愛関係も同じでしょ。生きていくためには仕事は大事です。稼がなければ生活は成り立たない。でも仕事だけじゃ人は支え合って生きていけない。ポストだけじゃ人を計ることはできない。心が必要不可欠なんです。僕にとって、彼女の存在が健全な精神であり、道徳でもあります。仕事の技量や知識だけでは足りない、心が必要なんです、僕にとって彼女が生きる糧となる心なんです。  今の話でちゃんと伝わっていればいいのですが。たとえがややこしかったですか、簡単に言えば、二つそろってこそひとつになるということです。
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