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一 「今のあなたに、彼女を受け入れる覚悟と勇気がありますか」20
私は家族についても質問をした。
妹は溺愛されて育てられていたようだ。あまりにもわがままに育てられたようで、身なりも派手な感じで、あいさつをしても返してこないことが多く、お姉さんと比べて愛想は良くなかったようだ。
二人とも高校を卒業してからは家には帰っていないようだと言う。
母親のことを訊けば、「あの人は見栄っ張りだからねぇ」と簡単に性格を表現する。
父親のことを訊けば、「酒にだらしない男ですよ」とあまりいい顔をせずに話してくれた。
そのあと、世間話をして新聞屋へ向かうことにした。
「私から聞いたことは内緒にしてね」と釘を刺されておばさんとわかれた。
おばさんが教えてくれた新聞屋さんはすぐに見つけることができた。
私が店の中へ声をかけると若い人が出てきてくれた。
以前、こちらでバイトをしていた人についてお話をうかがいたいと用件を言えば、社長さんを呼び出してくれた。
中学生の頃からこちらでバイトをしていた女の子のことでと説明をすれば、社長さんはすぐに思い出してくれた。
社長さんは昔のことを思い出して彼女の話をしてくれた。
社長さんの記憶では、当時、彼女が中学二年生くらいのとき、いきなり来てバイトをさせて欲しい。と頼まれた。親御さんの同意は、と確認をすれば、取ってないと言う。未成年を親御さんの許可なく雇うことはできない。と断れば、どうしてもお金が必要なんです。と頑固にお願いをされた。こっちはあとで親御さんから苦情を言われてトラブルを抱えるわけにはいかないのでお断りをしたんだが、学費的なことでお金が必要だと言うから、子供ながらに他人に言えない事情があるんだと思いましてね。ちゃんと説明をして、納得ができれば雇ってもいいと条件を出した。
彼女の説明では、筆記用具やノートなどの文房具を買いたい。その他学校で使う必需品を買うためにバイトをしなければならないと話をする。そのとき、三田さんのお家の人だよね。と再度確認をすれば、そうだ。とうなずく。
あの家の奥さんは近所でも有名なくらい派手な人だから、学校で必要なお金を子供に渡していないなんて、と疑問を持ったという。
彼女の身なりを観れば、不良みたいな服装でもない。化粧も当然していない。嘘を言っている風にも思えない。それから三日前に一人辞めたところなので人手もほしいと思っていたところだという。
ただ、単車の免許は持っていないから、抜けた人のエリアをそのまま引き継がすことはできない。自転車で回れるエリアにして、月5万円~7万円くらいにしかならないが、それでも良いかと訊けば、それで十分だと返事をした。
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