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三 「君がそこまで言うのなら」4
「あんた、家族はいるかい」
不意打ちをくらったような質問に、私は一瞬戸惑いを覚えた。
「両親と妹が一人、弟が一人います」
私は家族構成を説明し、
「家族からは愛されていると実感しています」と伝えた。
「ちゃんとした親御さんと出会えたんだね。幸せだと思わなきゃ罰があたるよ」
私は礼を言いながら、話がそれていくようで、不安を覚えた。
「孫は、なにを話してもかまわない。と言ってるからね。あたしの判断で話せることは話そうじゃないか。しかしね、うちの子を泣かせたら承知しないからね」
泣かすって、四十代の大人をつかまえてと思いつつ、私はこくりとうなずいた。
「あたしゃ、たばこを吸うけど、自分の家だからいいだろ」
私はおかまいなくとしか言えない。
「あんた、なにから聞きたいんだい」
「二人の関係を知る上で、噂とはかけ離れた感情があるのか、まだお孫さんからは話を聞かせていただいておりませんので、なんとも言えませんが。しかし、お孫さんがどういう思いで彼女と接していたのかを知るには、生い立ちを聞いた上で判断したいと。その方が、すべてとは言いませんが、できるだけ近い思いを知ることができるのではと考えました」
私なりに思っていることを美智子さんに伝えた。
「そうかい。じゃあ、孫の生い立ちから話をしようかね。履歴的なことはもう知ってるのかもしれないが、話には流れっていうものがあるからね、孫の家族について簡単に話してから、孫の人生で分岐点になった出来事を話すようにさせてもらうよ」
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