兎と馬と日記

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〔diary〕  僕には友達が2人いる。兎さんとお馬さんだ。兎さんは,甘える時に頭を擦り付けてくる。その時,ひんやりとした耳が当たるのが可愛い。お馬さんは,とてもかっこいい。毛並みは整っていて,でもすごく優しい。僕もいつかこんな大人になりたい。  僕の部屋は誰にも知られない秘密基地でいつも三人で遊んでいる。 〔rabbit and horse〕  中学校と小学校何が違うのか。実際,何が違うのかは分からない。ただ,何か違うのは確かだ。年齢とか,名前とかでを抜きとして,雰囲気が小学校と違う気がする。リズムよく耳にエーデルワイスが響き,休み時間に入る。 『人付き合いは隣人から』という父の言葉を胸に,隣の人に話しかける。幸いというのか,俺は左端の席なので,隣といえば1人しかいなかった。 「やあ,これからよろしくね。」と声をかける。  相手は,声を掛けられるとは小さじ一杯分の雀の涙くらいにしか思っていなかったのか,とても驚いた。 「俺の名前は宇咲(うさき) 斗優(とうま)兎と馬みたいで覚えやすいだろ?」 「ぼ,僕は日野(ひの) 幸紀(こうき)。じゃあ僕は,うーん」日野は何かを考える素振りを見せ,ようやく口を開いた。 「僕は日記みたいで覚えやすい…と思う。」 「幸紀の“き”って日本書紀の紀じゃ無かったか?」「う,うん。」「じゃあ紀の字が違うだろう。」「た,確かにね。」  日野は「じゃあなんだろう」と悩んだ。 『離さないと人は壊れる』唐突にこれまた父の言葉を思い出し,キリの良いところで話をやめた。  しばらくして日野が,「斗優くんって結構“陽”な感じなのに引き際は弁えてるというか,そこら辺しっかりしてるよね。」と言ってきた。  なぜちょっと上から目線なのか問いたくなったが,その言葉は飲み込み,代わりに父の言葉を教えてあげた。
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