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声が聴けて嬉しい気持ちと、爆上がりしたドキドキと、どうしようという戸惑いをグルグルぐるぐるしながら、こーすけの声を待つ。
こんな衝動に駆られたのは初めてかもしれない。
今まで自分の情熱は全てEtoileに向けられてると思っていたけど、それとは違う。
なんて言うんだろう。
焦がれる?
「望む」だけじゃない、ヒリヒリとした火傷のような痛みを伴う、どうしようもなくもどかしい感情。
これまでの彼氏には抱かなかった気持ちだ。
「お待たせ、花音。あのさ、もしよかったら…」
「会いたい!」
こーすけの声を遮って、叫ぶように伝える。
「僕も会えたらなって言おうとしてた。花音もそう思ってくれてたの、嬉しいよ」
帰ってからクリスマスの手土産を妄想…いや熟慮してたのが幸いして、まだ出掛けられる格好をしていた。
パパッと化粧直しをして出掛けよう。
「気を付けて来てね。遅いしタクシーで来る?」
「大丈夫。電車で行けるよ」
最寄り駅までは10分ちょっと。
そこから乗り継ぎ1回で40分くらい。
多分タクシーでも移動時間はそんなに変わらない。
深夜でもないし、タクシー代を気にせずに乗れるほど、入社3年目は裕福ではないよ。
ちょっとした感覚の差にモヤっとするけど、会いたさが掻き消されるわけではない。
バッグを持って駅へと急いだ。
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