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逸る気持ちほど電車は速く進まない。
それでも車窓から遠ざかる景色は、こーすけの所へ近付いていると思わせてくれる。
この気持ちにどんな名前を付けていいか、まだわからない。
こーすけに会いたい。
こーすけとの空気に包まれたい。
それはわかる。
全身で求めている。
今まで彼氏がいなかったわけじゃない。
高校も大学も。
でも、こんなにも灼けつくような気持ちを感じたことは初めてだよ。
それはEtoileに対しても…
恋愛だけじゃなくすべてに対しても、なかったかもしれない。
受験も就活も人並みに努力したけど、人並みでしかない。
推し活も楽しくて幸せだけど、苦しくてたまらないほどの切望じゃない。
こーすけがいなくなってから、失うことが怖くて、辛くて、本気になれずにいたのかな。
今は、全力でぶつからずにこーすけを失うことの方が嫌だ。
私にとって『暁光航佑』はこーすけなんだね。
AKIじゃない。
それもちょっと違うか……
こーすけの一部がAKIってことかな?
それならそれでいい。
私はこーすけの全部を受け入れたい。
私の中に生まれた、愛しさの息吹をそっと抱きしめた。
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