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別離と出逢いは突然に
桜も散り、すっかり葉桜になってしまった。
新緑が眩しい公園のベンチで、私は泣き腫らした目を隠そうともせず、ぼーっとしていた。
現実に思考がついていかない。
ことの始まりは1時間ほど前。
今日は1週間ぶりのデートだった。
正確にはデートのはずだった。
先週、親友と買いに行ったワンピースを着て、ウキウキで待ち合わせの駅に向かった。
そこまでは楽しかったし幸せだったよね、私。
駅に着いた時、珍しく雅也は先に来ていた。
隣に見知らぬ女性を連れて。
「俺さ、コイツと付き合うことにしたから。じゃ、そういうことで」
「え? 雅也! どういうこと? ねえ!」
何とか声は出せたけど、訳が分からなすぎて身体が動かない。
改札に消えて行く雅也と隣の女を見ながら、頬が濡れる。
呆然と、心は何も感じない。
ただただ涙が止まらない。
駅に向かう人、駅から出てくる人。
いろんな人が見ては通り過ぎて行く。
突然のカオスの渦に、どれくらいその場に立ち尽くしていたのだろう。
急に思考回路のスイッチが入った
は、恥ずかしい!!
走るようにその場を逃げ出し、近くの公園にたどり着いた。
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