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 最後の方は、視界が滲んだせいでまともに読むことができなかった。  原稿用紙を濡らしてしまわないように机から離れ、ごしごしと涙を拭う。  ——僕はいつから、こんな最低な兄になってしまったんだ。  和穂を大切に想う気持ちが、いつのまにか、和穂は僕だけのものであってほしいという独りよがりな気持ちに変わっていた。  和穂にいつも笑顔でいてほしい。和穂に毎日幸せでいてほしい。  小さい頃からずっと抱いていたその想いを、今はっきりと思い出した。  プレゼントと和穂のスマホを持って、まっすぐリビングへ戻る。  迷わず玄関にたどり着いた、その時、 『行くのですか?』  まただ。例の気味悪い声。 「うん。行くよ」  この『カミ』ってやつが何者で、どういう目的で僕に話しかけてきているのか、未だになにもわからないけれど。  恐怖も、迷いも、一切なかった。 「『創造主』だかなんだか知らないけど、僕は、お前の言うことなんか聞かないからな」  僕が確信していることは、たった一つ。  今追いかけなきゃ、兄失格だ。
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