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プロローグ
それは何度も夢の中で繰り返されたあの夜の記憶。
さらさらと肌触りの良い純白の布で覆われた寝台の上、アイユーブは努めて無邪気に寝転んだ。
神殿に満ちる香木の香りは爽やかに甘く、ゆるゆると柔らかく眠気を誘う。隣に横たわるこの国で誰よりも尊い穢れなき身体が、その晩はしっとりと熱を帯びていた。
『愛している、アイユーブ』
水の中で溺れる人が必死に何かをつかみ様な必死の力で組み敷かれ、とても逃れることなどできなかった。
帳を下ろした寝台の中、秘密の口づけの合間に囁かれたのは永遠の忠誠を誓う言葉。
『生涯、私の傍に』
(ああ、まるで呪いのようだ)
夢の中では自分に正直に、アイユーブはそう思った。
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