18 情事

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 芯が通ってきたアイユーブの雄に手をかけ、やんわりと握るとすでにしとどに濡れた先の丸い部分を優しく撫ぜまわす。  アイユーブが喉の辺りから絞り出る呻くような息が早さを増し、身悶えるところに、後膣に出し入れしていた指を当たりをつけていた場所に向け、押し当て撫ぜ摩る。途端にアイユーブは蕾をひくひくと震わせながら悲鳴の形に大きく唇を開き、切なげな顔をして極めた。 「上手にいけたね。これで一度目」  涙をほろほろ流し、汗に濡れ頬を染め、顔を寝具に押し付け、シーツを掻きむしって、ただただ細い腰を絞るようによじる。もう首を振って返事をする気力もない様だ。 「可愛いよ、アイユーブ。もう少しだけ待って。完全に『声』を取り戻してあげるから」  そんなアイユーブの変化を見ながら次第に遠慮なく出し入れさせていった指を増やしつつ、元々だぼつきはだけたシャツの胸元から覗く色の薄い乳輪を舌先で味わう。  もう片方を指先で柔くこねつつ、じゅっと吸いついただけで形を変えて簡単に色づく。その刺激で三本にまで増やした指が再び食い締められる。感じやすい身体のその心地よい締め付けにスィラージュが自慢げに語った一族の肌の甘さに納得しまた妬いた。 「アイユーブ、貴方にはいらせて」  高まりきりった自らのものは血管が浮き出、痛いほどだ。  身体がきつくないように裏返しにしようとしたが、アイユーブが涙にぬれた瞳で縋るようにダロワースを見上げてくる。  「怖いの? 後ろは嫌ですか」  アイユーブは力が入らないままなんとか気だるげに足を開くと、白い腕を伸ばし背に爪を立てて促してくる。そして頭を起こして昼間から何度となく眼にした口付けを強請る仕草をしたのでもう、ダウワースは彼が愛おしくて堪らなくなった。  腰の下に夜具を丸めていれてやり寝台に腕を突きアイユーブを囲う。ついにこの腕に閉じ込めた愛しい人は泣きぬれた顔が余計に綺麗だった。  目を合わせたらこくん、と頷く。  それを見届けた後、もう限界まで膨れ上がった欲望をゆっくりと埋めていった。  浅い部分で抜き差しを繰り返していくと、アイユーブが腰を淫らに動かして応えるような動きを見せた。実際は過ぎる快感に耐えかねて逃れようとする動きだったのだが、ダウワースは許されたような気持になって余計に浅い部分で腹側をねっとりと抉るような動きを繰り返した。再び絶頂を迎えたのかびくびくっとアイユーブの痙攣が止まらなくなる。背中を細い指が掻きむしるのがたまらない。激しく締め付けられたが何とか耐えた。まだ終わるわけにはいかないのだ。 (声が聞きたい、貴方の声が)  アイユーブの細い腰を掴み上げ、再び律動を繰り返し始めたらもうだめだった、  アイユーブの熱くきつく、しかし心地よい腹の中を知ったら、もはや必死で今まで優しく抱こう、でも主導権は握りたいと葛藤していた気持ちなど全て吹き飛んでしまったのだ。  ダウワースは師の細い身体を暴くことに溺れきり、中へ奥へと泥濘を進んでいく。  貪るような口づけをされ、自分を犯し激しく腰を蠢かせ続ける若い獣に、アイユーブは上も下も水音を立てて蹂躙され続ける。  溢れた蜜を夢中で飲み込み喉の奥に流れていった時、自分で上げているとは思えないような甲高い嬌声がでたが、それは枯れるまで消えることはなかった。  ダウワースは愛しい人が、途中から甘い泣き声を上げていることすら頭からすっぽりと抜け落ちて、後は空が白むまで、ひたすら彼を愛し続けたのだった。
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