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ベレニスの死。家族会議
──2023年──
時が経ち、ベレニスは80歳になった。誕生日のホームパーティの1ヶ月後、突然亡くなった。死因は心筋梗塞だった。その時もレオニスは一緒だった。
✱
ベレニスの死後、土葬ではなく火葬が行われた。その後、生前ベレニスが大切にしていたレオニスについて家族会議が行われた。
ジネット「私は反対よ。お母さんが大切にしていたのは知っているけど気味が悪くて…。ずっとうちに置いておくなんて嫌よ。」
タイス「まぁまぁ、そんなに嫌がるなよ。」
マルト「母さん、ダメだよ。おばあちゃんがとても大切にしていた人形なんだから。置いておこうよ。ジゼ叔母さんもそうした方がいいって言っていたんでしょ?」
ジネット「ジゼの言うことなんて気にしないで。ジゼはあの人形が好きだったからよ。…セシルはどう思う?」
セシル「俺は母さんの手放したいっていう意見に賛同だね。価値は分からないが、生きている俺たちの為に少しでも利用できるならした方がいい。」
マルト「…お前まさか」
セシル「骨董屋にでも売りつければいい。いくらか金になるだろ」
マルト「…最低だな。」
セシル「兄さんはいい子過ぎ。人形も誰か必要な人に買われた方が幸せだろ。俺達もわざわざ話し合いなんて無駄な事しなくても良くなるわけだし。」
マルト「無駄ってそんな言い方…!!」
タイス「2人ともやめて。ここは落ち着いて。ジネット、ジゼにもう一度電話して聞いてみたらどうだ。」
ジネット「そうね。」
ジネットは電話をかける。
ジゼル『なーに、姉さん。』
ジネット「ジゼル?今大丈夫?」
ジゼル『大丈夫だよ。』
ジネット「お母さんが持ってた人形の件だけど…。」
ジゼル『前回も言ったけど、母さんの骨壺と一緒に置いといて欲しい。母さんもきっとそう望んでるよ。姉さんがあんまり好きじゃないのは知ってるけど…。』
ジネット「それが嫌だから貴方に電話かけてるの。ジゼルでは預かれないの?」
ジゼル『んー…難しいかな。レオニスは好きだけど、私は片付けとか苦手だし…。母さんや姉さんみたいに管理出来ないよ。…ごめん!仕事の電話来たからまた後でね!』
ジネット「…はぁ。」
ジネットは携帯をテーブルに置き、ため息をつく。
タイス「ジゼルはなんて?」
ジネット「前と同じよ。骨壺と一緒にして欲しいって。それが嫌って言ったけど、管理できないからジゼの方では無理だって。その後は仕事の電話があるからって切られちゃった。」
タイス「…やっぱり置いておこうよ。君が嫌ならマルトと僕が手入れするから。」
マルト「そうだよ。母さん。僕たちに任せて。」
ジネット「タイス、マルトありがとう。…ごめんなさい。頭を冷やしてくるわ。向こうで休むわね。」
とジネットは頭を抑え、リビングから出ていった。
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