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アンティークショップの人形
──2046年 アメリカ──
午前9時、店主が窓のシャッターを開ける。外は昨晩降り続いていた雨が止み、向かいのプランターの植物と道にある水たまりが、太陽の光でキラキラしている。店主は店内に戻るとどこかに座る。ここは沢山の店が並ぶ、ストリート街から少し離れた路地にあるアンティークショップ。人通りは多いがあんまり客入りは良くない。気づいたら私はここに居た。とても大切な人といた記憶はあるが、ぼんやりとしていて思い出せない。いつか思い出したい、そう思いながら今日も窓越しに外を見つめる。すると、1人の少女が目に入る。その瞬間
(あの子に絶対買われなければ!)
そう思った。私は必死に見つめた。少女は私の方を見て女性に何かを伝えている。女性は嫌そうな顔をし、少女の手を引っ張る。少女はそのまま去っていってしまった。
──3日後──
珍しく店内に誰か入ってきた。話し声が聞こえる。
???「ママ!あの子まだあるかな!」
???「…どうしてもあの子がいいの?」
???「あの子じゃなきゃどうしてもダメ!」
足音が近づいてくる。すると突然体を持ち上げられた。目の前には以前見た女性の姿だった。
少女「あったよ!ママ!お願い!」
母親「はぁ…わかったわ。店員さん、こちらおいくらかしら?」
店主「22ドルです。」
母親は店主にお金を渡す。少女は私の顔を見て
少女「良かったね!これで一緒だね。」
そう言ってニコッとし後、強く抱きしめられた。とても暖かく懐かしい気持ちになった。
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