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プロローグ:これが貴族の政略結婚なんですね
貴族の結婚といえば政略的なものが当たり前。
貴族令嬢として生まれたのならば、それは当然の義務としてこのターンバル国唯一の公女である私ことアルベルティーナ・エングフェルトも理解しているつもり……だった。
“運命的な恋なんて憧れてない、ただ互いを尊重して穏やかな夫婦生活を送れれば”
それくらいなら願ってもいいかもしれない、なんて思っていた婚約後初めてのお茶会。
約束の時間キッカリ十分前。
エングフェルト家自慢の温室で婚約を結んだばかりの未来の夫を待ちながら、恋や愛とは言わずとも情くらいは……なんて少し浮かれていた十六歳の私に突きつけられたのは。
「アルベルティーナお嬢様、ご婚約者様……の、代理の方がいらっしゃっております」
「代理?」
エングフェルト家のメイドが案内し連れて来たのは、向こうからの申し込みで婚約を結んだばかりのベネディクト・ニークヴィスト侯爵令息、では、なく。
「エングフェルト公爵令嬢にご挨拶いたします。クラウリー伯爵家が次男、レヴィンです」
「クラウリー伯爵令息……?」
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