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「流石に今晩のエスコートには早すぎるわよね?」
「えぇ、パーティーはあと12時間後でございますので」
ならば何の代理かと不思議に思いつつ、ドレス選びをハンナに任せてメイドの後に続く。
案内された応接室で待っていたのは、やはりというか案の定というか……想像していた通りの人物だった。
「レヴィン様」
「アルベルティーナ・エングフェルト公爵令嬢にご挨拶いたします」
ペコリと頭を下げた想像通りのレヴィン様を見て思わず苦笑を漏らすと、少しだけ怪訝そうな顔をされた。
「ごめんなさい、レヴィン様がいらっしゃると問答無用で皆代理だと思うみたいですわ」
くすくすと笑いながら、けれどそれは私も同じね? なんて考えつつ頭をひねる。
「それで、本日は何の代理かしら」
「アルベルティーナ嬢もですか」
そんな私の回答を聞いたレヴィン様が、小さくため息を吐きながら私の前まで歩いてきて。
「こちらをアルベルティーナ嬢に」
差し出されたのはキレイな紫色の花で作られた小さな花束。
「二十歳の誕生日、おめでとうございます」
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