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番外編:はじまりの花
「な、俺たちトモダチだろ?」
何回も何回も聞いた言葉。
“俺からは言ったことのない言葉”
我がクラウリー伯爵家は生花の栽培を生業にしていて、領地で大事に育てた花たちを王都に出荷し生活している。
もちろん食べ物を作るべき、という考えの領民もいるしその気持ちもわからなくはないが――
「うん、綺麗だ」
その季節ごとで花開く色とりどりの世界が、真っ白な世界をキャンバスに見立てて描かれる絵画のようで俺はとても好きだった。
「だが、このままではよくないよな」
はぁ、とため息を吐きながら馬車内から見える景色をぼんやりと眺める。
領地の立地上、王都に納品しようと思うと必ず通らなくてはならないニークヴィスト侯爵領。
今はなんとか通行料を支払い通らせて貰ってはいるが、いつまでこの状態を維持できるのかが俺の悩みの種だった。
“兄さんは栽培についてはやり手だけど、こういうのは苦手だしなぁ”
ほとんどの出荷先が王都である現状、万一ニークヴィスト侯爵領の通行料が上がればそれだけでコストがグンと上がってしまう。
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