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「結果、トモダチという便利な道具としてベネディクトの婚約者様になじられに行くのか」
そう思うと俺の心は一気に沈む。
初回から会いに来ない婚約者。
その婚約者への怒りは、代わりに行かされた俺に全て向かうだろう。
“なんでベネディクトの身代わりで俺が怒られなきゃならないんだ?”
なんて思うが、家のことを考えると怒鳴られるくらいどうってことはない。
「皿とか投げられないといいな」
平手打ちされるか、皿を投げられるか。
選ぶならどちらだ、もしかしたどっちもか……なんて、俺はベネディクトの婚約者であるエングフェルト公爵家のご令嬢、アルベルティーナ嬢のお茶会にベネディクトの身代わりとして参加するべく向かいながら頭を悩ませていた。
そして着いたエングフェルト公爵家。
アルベルティーナ嬢がこのエングフェルト公爵家唯一の実子であることは有名で、しかも彼女が次期公爵になる予定だというのもこのターンバル国で知らないものがいないほど通った話だった。
“つまりそれだけプライドが高い可能性!”
貴族令嬢である以上冷たくあしらわれたり、癇癪を起こされることは想定済み。
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