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彼女の健気で可憐な姿と、その花言葉がぴったりだと思った。
二度目に会った彼女は凛としていて、まるで百合のようだと思った。
“純粋、無垢、威厳という花言葉がぴったりだな”
再びベネディクトの身代わりとしてやってきた俺に少しぎょっとした彼女は、少しその薄水色の瞳を伏せたと思ったらまたにこりと笑顔を作る。
強く立つ彼女には俺の慰めなんてもちろん、誰かの支えすら必要なさそうに見えて。
“痛々しいな”
そんな彼女がどこか滑稽で、堪らなく守りたいと感じた。
“俺に出来ることはない”
いつかこの折れそうな彼女に触れるのは俺ではなくベネディクトなのだ。
ただの身代わりに出番など無いのだと、繰り返し自分に言い聞かせていた。
最初の頃、毎度やってくる俺の姿をみて少ししょんぼりとした表情を見せていた彼女がいつからだろう?
何の色も映さなくなったのは。
“このままじゃ良くないな”
お節介だとわかっていながら、何か出来ることはないのかとつい考えてしまう自分に苦笑する。
「だから、俺はただの身代わりなんだって」
わかっている。
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