1.身代わりですか?お可哀想に

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 そんな私に声をかけてきたのが、他ならぬベネディクトの父君であるニークヴィスト侯爵だった。  広い領地を持ち、かなりの資産家。  事業も領地の立地を活かした土地の貸し出しや通行料などから得るという、天気などに左右されにくいある意味最も安定したもの。  そんな侯爵から紹介されたのがベネディクトで、私の二歳年上、当時十八歳だった。  年齢も近く、そして三男。  家格も申し分なく財政状況もいいとなれば、『条件のいい婿』をなんとしても欲しい私としては願ったり叶ったりの相手だったのだ。 “ほんと、条件だけ見れば完璧だったのよね”  赤茶色の髪にアーモンドのような瞳が少し軽薄そうに見えたものの、野心が溢れギラついているよりはよほどいい。  向こうからしても、婿入り先として良かったのだろう。    あっという間に成立した私たちの婚約は、親交を深めるために開催されることになった婚約後はじめての顔合わせの時から躓き進んではいないのだが。   「……このまま結婚していいのかしら」 「アルベルティーナ嬢?」
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