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4 過去の遺産
その昔、アルバティーダ王国の建国時のことだ。
二人の貴族家の兄弟が当時の王家に反旗を翻しクーデターを起こした。
静かなクーデターは王家があっさり王座を明け渡すという幕引きで、粛々と政権交代は終わりを迎え、無血クーデターとなった。
その時に付き従った側近二人と弟が公爵位を賜ったのだが、この時の三家と前王家の宰相達との話し合いの場で王家に生まれた見目の良い男児は長男であっても王位を継げない事が秘密裏に決まった。
理由? それは先の愚王がイケメン過ぎて国が傾いたからである。
男前過ぎたせいで女性がよりどりみどりになってしまい常に貴族女性に集られた国王は様々なハニトラに引っ掛かり、側室が増えすぎ国が傾いたのだ。
そりゃあもう国費を圧迫した。
しかも外交で他国へ国王が赴くと、毎晩のように寝込みを襲われたり付き纏われ、終いには他国の王妃迄もが寝込みを襲いに来る始末である・・・
その問題自体は相手方の国王が妻の不貞を調査中でこれ幸いと離縁する理由になったとお咎めは無く終わったのだが、こうなってくると将来的に由々しき問題となってくるのが火を見るより明らか。
実は当時の国王は長男というだけで大してオツムの出來は良くもなかったが、幼少期はやたら滅多ら天使のような美しい子供で、ニコリと笑うとなにもかも許される境遇が災いし『身体は大人、中身は子供』の愚王がしっかり出来上がってしまったのである。
その為政権交代も当時の宰相が了承しあっさりしたものだったのだ。
ともかく、この様な反省点を今後の治世に活かすため『イケメン王位継承権撤廃案』が生まれたのである・・・
非常に微妙な案だが散々他国の美姫達や若い女性達と国王との間で苦い想いをさせられた元重鎮達のアドバイスから考えられた苦肉の策であったのだ。
弟が賜った『アガスティヤ公爵』の派閥は王家から将来的に出されるであろう『イケメンの受け皿』を引き受ける家門になったせいで、やたらと美形の発生率が高くなったのは単なるオマケ。
本王家に関してはあまりにも見目が悪いのも国内外に悪印象を与える恐れもあるため、それなりの平凡顔が揃うように時折美形の伴侶も投入されるという念の入れようで未だにこの国の王家は平和が成り立っている。
実にシュールだが上手い具合に長い事王国は問題なく回っているので概ね成功といえるのだろう・・・
心情的には微妙かも知れないが王国の舵取りとしては、世はこともなし、安全第1、皆が平和! が1番のアルバティーダ王国なのである・・・
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