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55 エピローグ 〜そして舞台に舞い戻る〜
「ウフフ。ご機嫌よう皆様」
男装の麗人、リリー・アガスティヤが鮮やかな余韻を残し去って行った後、国王夫妻の玉座の後ろに現れたのはアガスティヤ公爵夫妻。
別名、鬼姫将軍と呼ばれるオフィーリア・アガスティヤ公爵夫人の本性を知っている若い貴族は少ない。
その功績は、先の戦争の首謀者を根こそぎ職滅させ海の向こうのトリアステル帝国の皇帝と共に手を取り合い重罪を犯した者を一切許さず、人どころか国すらも生まれ変わらせてしまった事だ。
古くからの重鎮達と王家一家はそっと顔を背け、貴族達は頭を垂れたまま不穏な空気を感じ取り背中に冷汗が流れる。
「さあ、我が娘に不敬を続けた貴族家はこの国の王政そのものに不満のある異分子として断じて宜しいという事で、皆様異論は御座いませんわね」
彼女の忍び笑いが、しんとしたバル内に響いたような気がした。
「ワタクシはこの国の王家を支えるアガスティヤの一族。ワタクシに支えられる王国はワタクシの家族そのもの」
ウフフ、と彼女の笑いがその場の全員の耳に届き何かを取り出すようなガサガサという音がした。
「ワタクシ、家族を害する者は例え王族だろうが貴族だろうが一切許す気などございませんのよ。例えソレが神の教えに逆らうことだとしてもね。皆様。勤勤お忘れなきように、くれぐれもお願い致しますわ」
朗々とバル中に彼女の美しい声が響いた。
好奇心に耐えられなくなり、そっと盗み見をした貴族数人が、何かの報告書を片手に持ち、反対の手には赤い鞭を持った彼女の妖艶な微笑みが、まるで悪魔のように見え心底恐ろしかったと後に語ったという。
~fin~
『続・残念令嬢の逆襲 〜story of duke and wife〜』
2023.6.24sat
hazuki.mikado
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