君の背後霊になりたい

4/15
前へ
/15ページ
次へ
『マテェエ。マッテクレェ……』 声のような風音がだんだんと情けなくなっていく。 『ハヤスギテ、オイツケ、ナイ』 『タノムカラァ、ノロワレテクレェ』 廃墟ホテルのフロントで、浮遊霊の俺は息を切らして倒れこんだ。なんで足がないはずなのに、俺はこんなに走るのが遅いままなんだよ。 肝試しの大学生3人組の言っていた、角部屋のバスルームで自殺した男とは俺のことだ。 以来、俺は浮遊霊として、この廃墟ホテルで成仏できずに彷徨っている。 『まさか幽霊になったのに、足が遅いせいで誰にも取り憑くことができないなんて』
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加