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終章
時が経ち、峠の手前にあった茶屋はもう跡形もない。
今では山にトンネルが掘られ、東の町と西の町を結ぶ大きな道路ができて、峠を通る旧道を使うのは山歩きの人達だけだ。
峠の手前には使われていない古井戸があった。
その井戸には立て看板があり、『ヒ素またはヒ素の成分に近い物質が含まれているため使用できません』と書かれてあった。
また、その井戸の傍には、人が祈っているような形をした石があった。
峠を行くものはその石を拝んで行くと、道に迷わず安全に進める。
だが、もし祈らずに行けば、後ろから誰かの声が追いかけてくる。
そんな言い伝えがあるという。
<了>
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